新しい年を迎えて
理事長 平野 敏夫
暮れに、患者さんがOTC医薬品についてお話しされていました。OTC医薬品とは、薬局で処方箋なしに購入できる医薬品(市販薬)のことで、風邪薬や湿布など、最近では花粉症の坑アレルギー薬や鎮痛剤なども買うことが出来ます。このOTC医薬品に有効成分が似た処方薬をOTC類似医薬品と称し保険適用から外そうという動きが出ています。マスコミでも取りあげられており、連立与党になった日本維新の会が医療費の削減を目的に主張し、現在検討が進んでいます。候補に挙がっているOTC類似医薬品は多く、鎮痛剤や湿布なども入っています。お話をされた患者さんは腰や膝が痛く、鎮痛剤と湿布を処方されています。いずれも保険適用外になる可能性があり、適用外になると当然自費で購入することになります。高齢者は、老化で体のあちこちが痛い患者さんが多く、鎮痛剤や湿布が離せない方が多いのです(もちろん使いすぎは副作用が心配ですが・・・)。その患者さんは、これからますます高齢化社会になるにもかかわらず、こんな年寄りいじめは許せないと憤っておられました。軍事費は増やす一方で福祉が削られるのは大問題です。
昨年、埼玉のアパレル企業で働いていた2名のカンボジア人技能実習生が、診療所を受診しました。二人は、たこ部屋同様の状況で毎晩夜遅くまで残業させられ、疲労困憊で貧血などの病気もあり、助けを求めて外国人相談会にやってきました。相談を受けた支援団体からひまわり診療所を紹介されたのです。受診したときは元気がなく疲れ切った状況でした。二人は労働組合に加入し、不当な労働条件を是正させるために交渉し、治療も続けて次第に元気になり職場復帰を果たしました。もちろん会社に労働条件を改善させるのが前提です。診療所にはこのような「駆け込み寺」の役割もあると思います。
この度、10年間所長を務めて頂いた毛利医師が退任され、今年から非常勤医師として、金曜と水曜(隔週)の午後の診療になりました。それに伴い診療体制が大幅に変わります。月曜日が私、火曜日は水曜の午後に診療してきた小島医師が入ります。小島さんは、ひまわり診療所設立以来の仲間です。新たに二人の医師が加わります。一人は、診療所の近くにある江東病院の外科医である仁科医師。仁科さんは、以前にも週1回お手伝いして頂きました。もう一人は、越智医師です。越智さんは精神科・心療内科・内科の診療で、やはり以前お手伝いしていただきました。「日替わり診療所」になりますが、良く言えば「多彩な診療体制」ということでよろしくお願いします。
ひまわり診療所は、1990年に設立して35年が過ぎました。毛利さんが進めてきた地域医療はもちろん、アスベスト関連疾患や有機溶剤中毒、振動障害などの労災職業病の診療などまだまだひまわり診療所ならではの課題があります。
今年も何卒よろしくお願いします。
今年も
あっという間の
一年になりそうです